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Tw300字ss 第三十回お題「飾る」
「髪飾り」

 これ、私が作ったの。お兄ちゃんの好きな人にあげて。
 色とりどりの端切れを組み合わせて作った花の髪飾りだった。赤竜討伐団の独身寮に越してきたとき、実家から送った荷物に幼い末妹が手紙付きで忍ばせていた。
 ジェラベルドは小さな花を太い指先でくるくる回した。
 ……剣を振り回して、竜を殺す女にか?
「それは何だ。髪飾りか?」
 まさに頭に思い浮かべていたその女性が、背後から覗き込んできた。
「シ……シノ」
「まさか、お前がつけるのか?」
「そ、そんなわけないだろう」
 渡したのか、それとも勝手に奪ったのか、シノは髪飾りを自分の黒髪に差して微笑んだ。
「似合うだろう?」
 すぐには答えられなかったのが、何よりの肯定だった。

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(wordで確認:295文字)
下記お題配布元ツイートの引用です。





今度のテキレボで出す本の二人です。
詳しくは、ひとつ前の記事を見てね!
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2017'03'04(Sat)21:58 [ Tw300字ss ] . . TOP ▲
Tw300字ss 第二十九回お題「氷」
「あー寒い寒い寒い寒い! 氷点下16℃だってー。さすが道東だよね」
 へらへら笑う若い司令官の顔は、目隠しされた男には見えない。反抗勢力の首班だった男は、いま刑場で銃口を向けられている。
「頼む、仲間は見逃してやってくれ」
 司令官は「だーめー」と即座に却下した。
「反逆者は全員死刑、それが僕らの方針だから」
「この寒さで血まで凍りついたか!? お前には人間の心ってもんが……」
 言い終わる前に男は死んだ。司令官が投げたナイフが、正確に男の心臓を貫いていた。
 司令官にもう笑みはなかった。
「凍ってないよ。恒温動物だもん、僕」
 ごめんね、と呟くと息が白く浮かんだ。死んだ男から流れ出た血液は、じきに凍るだろう。

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300字(「【文字数カウント】」で確認)
下記お題配布元ツイートの引用です。





すでにプライベッターで公開したものの転載です。
学戦のソーちゃん(大人・白)で。
この後、四色問題EDにつながるわけです……。

>> ReadMore
2017'02'06(Mon)20:41 [ Tw300字ss ] . . TOP ▲
Tw300字ss 第二十八回お題「火・炎」
「火のないところに煙は立たぬ」

 大将軍は美しい男だ。顔の左半面が焼け爛れていることを除いては。
 火傷は兵卒時代に戦場で負ったものだとか、いやそれ以前からあったとか、噂は色々ある。火傷さえなければ絶世の美男子だったろうにと人は惜しむが、好色で歪んだ性癖を持つ皇帝の目には、かえって魅力的な化粧として映ったらしい。将軍が皇帝の閨に何度も招かれているのは、城勤めの者なら皆知っている。皇帝は将軍を引き立て、どんどん出世させた。そして、農民の子がいま帝国軍の最高位にある。
 新たな噂が生まれた。彼は皇帝に愛されようと、自ら顔を焼いたのだ、と。
「本当なの?」
 愛妾の少女が、無邪気を装って尋ねた。彼は肯定も否定もせず、ただ赤い唇を曲げるだけだった。

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300字(wordで計算)
下記お題配布元ツイートの引用です。




以前の300字SSで書いた「ディエはディルとドの間」と同じく、サイトに書きかけが残っている「ムーンライト・ミンストレル」のお話です。
噂の真相が明らかになるかどうかは私の気分次第ですが、昔から「字書きもおだてりゃ本を出す」っていうよね。ねっ。
2016'12'03(Sat)20:59 [ Tw300字ss ] . . TOP ▲
Tw300字ss 第二十七回お題「絵」
「ルートヴィヒのために」

 ピアノ科に入学して間もなく、こんな噂を聞いた。
 深夜、第三練習室で『エリーゼのために』を完璧に弾くと、壁に飾られたベートーヴェンの肖像画が笑う。
 同級生は皆一笑に付したけれど、私は違った。昔から根暗で、皆に気味悪がられてきた私にとって、ピアノだけが友達だった。特にベートーヴェンには「好きな作曲家」以上の思い入れがあった。彼も人間関係に問題を抱えていた人だったのだ。
 いつも気難しい顔をした彼の笑顔が見たい一心で、私は毎晩弾き続けた。
 季節が変わっても、年が明けても、同級生が皆卒業しても、ずっと……。

「知ってる? 深夜、誰もいないはずの第三練習室から『エリーゼのために』が聴こえてくるって噂」
「何それキモい」

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300字(wordで計算)
下記お題配布元ツイートの引用です。





ピアノ科に行くような人なら、「エリーゼのために」なんて目を瞑っててもノーミスで弾けるんじゃないかって勝手に思ってるんですが、音楽における「完璧」ってノーミスっていう意味でもないよね、ということでひとつ。
2016'11'05(Sat)20:59 [ Tw300字ss ] . . TOP ▲
Tw300字ss 第二十六回お題「月」
「ディエはディルとドの間」

 竪琴は、三日月の形をしていた。
 大将軍との結婚祝いに贈られたものだ。竪琴を抱えた姫の姿は、さながら絵画から抜け出した音楽の女神のようだった。でも、その手つきはいささかたどたどしかった。
 十三の弦を一つずつ爪弾き、旋律を探り出す。どことなく物悲しい曲だった。私にとっては異国の響きだが、恐らく姫にとっては懐かしい曲なのだろう。姫の祖国はわが国との戦に敗れ、いまは地図上から消え去っている。
「ねえレナン、ディエの音はどう弾けばいいの? ディルと」
 真ん中の弦を弾く。
「ドの音、の間」
 さっきより、少し高い音。
「……わが国の音階には、ございません」
「そう」
 姫が竪琴を触ったのは、それが最初で最後だったと記憶している。

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300字(wordで計算)
下記お題配布元ツイートの引用です。







ずっと書いてなくて昔からお付き合いのある方しかご存知ないのですが、「ムーンライト・ミンストレル」のシトリューカの話です。
大将軍=シャルルですね。
いい加減ちゃんと書きたいです。
2016'10'01(Sat)20:59 [ Tw300字ss ] . . TOP ▲
    




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