Our York Bar

Tw300字ss 第二十八回お題「火・炎」

「火のないところに煙は立たぬ」

 大将軍は美しい男だ。顔の左半面が焼け爛れていることを除いては。
 火傷は兵卒時代に戦場で負ったものだとか、いやそれ以前からあったとか、噂は色々ある。火傷さえなければ絶世の美男子だったろうにと人は惜しむが、好色で歪んだ性癖を持つ皇帝の目には、かえって魅力的な化粧として映ったらしい。将軍が皇帝の閨に何度も招かれているのは、城勤めの者なら皆知っている。皇帝は将軍を引き立て、どんどん出世させた。そして、農民の子がいま帝国軍の最高位にある。
 新たな噂が生まれた。彼は皇帝に愛されようと、自ら顔を焼いたのだ、と。
「本当なの?」
 愛妾の少女が、無邪気を装って尋ねた。彼は肯定も否定もせず、ただ赤い唇を曲げるだけだった。

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300字(wordで計算)
下記お題配布元ツイートの引用です。




以前の300字SSで書いた「ディエはディルとドの間」と同じく、サイトに書きかけが残っている「ムーンライト・ミンストレル」のお話です。
噂の真相が明らかになるかどうかは私の気分次第ですが、昔から「字書きもおだてりゃ本を出す」っていうよね。ねっ。
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創作復活ちう。

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