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ヘヴンズ・セヴン第3章「旅立ち」1
実はヘヴンズ・セヴンの過去掲載分に重大なミスが起こってました。

それは第2章「傭兵の仕事」の3話めの部分。
傭兵事務所のサイザのセリフから「畑荒らしの犯人が村人を襲った」という部分が脱落しておりました。
それなのに、次の話では村人を襲ったっていう話が普通に出てきてて、
もし読まれた方がいらっしゃったら、意味不明だったのではないかと思います。。。orz
直しておきました。すみません!
畑荒らしは村人も襲ってますので!(何それ

ちなみに、私は面倒くさがりなので誤字脱字や文の間違いとか結構放置してしまいます。
気が向いたときにこっそり直しますので、ああ間違ってるな、と思っても特に報告しないで、
心の底でそっと小ばかにしてやってくださると助かります。
本当に気付いてないときもあるけどな!(笑)


で、続きに最新話をお届け。
村人を襲った畑荒らしは誰なのか? ゼノなのか? それとも~? な話となっております。
よろしければどうぞ。

今日は一気にこの章の終わりくらいまで書いたのですが、
アシュリオがなかなか可哀想なことになってるので、
ただでさえ悪い体調が余計悪くなりましたとさ。


「私、あの人は嘘をついてないと思うのよね」
 ティエルの言う「あの人」とは、空を飛んで逃げ出したゼノのことである。
 ガナッツとアシュリオが、ウェストン卿に事の成り行きを報告する席に、勝手について来たのである。彼女の予想通り、ウェストン卿は、ヤクソウタンポポを勝手にむしったことは不問に付した。やはり問題は、村人を襲った畑荒らしと、ゼノが同一人物なのか、という一点に至ったのだった。
「しかし、見るからに怪しい男だったんだろう?」
 ウェストン卿はううん、と唸った後にそう言った。
 そう、確かにゼノはどこからどう見てもかなり胡散臭い男だった。光で形作られた双剣を持ち、訳の分からない言語を話しながらそれを翻訳することもでき、空まで飛べる。それに、あんな派手な水色の軍服は見たこともない。
「――でも、僕も、ゼノっていうあの軍人は、村人を襲った犯人ではないと思います」
 それなのに、アシュリオもティエルと同じ意見を口にしていた――アシュリオだって自分が依頼を受けたわけでもなし、勝手について来ているだけなのだが。
 村人を襲ったのがゼノでないとしたら、犯人はまず間違いなくクレシア島の人間の誰かだろう。アシュリオだってそんな結末を望んでいるわけではない。それでも、ゼノは犯人ではないと思う。
その根拠は、口にすればあまりにも薄弱だ。ゼノの瞳――あの深い常緑樹色をした、美しい瞳には、一点の曇りもなかった、ただそれだけだ。だが、目は口ほどにものを言う、ともいう。アシュリオは自らの直感に自信を持っていた。
「ふーむ……。ガナッツさんはどう思いますかな?」
「一切の予断を排して、再びゼノに会うしかありません」
 雇い主の問いに、慎重に答えたガナッツだったが、長い付き合いのアシュリオには彼の本心がよく分かっていた。ガナッツは「ゼノを捕らえる」ではなく「ゼノに会う」と言ったのだから。
「よぉし、じゃあ皆でゼノを探しに行きましょ! まずは村の人に聞き込みよっ」
 ティエルが張り切って拳を突き上げる。それを聞いてデラムはぎょっとした。
「お、おい、ティエルも行くのかね?」
「当たり前でしょ、お父様。大丈夫! ガナッツさんもついてるんだから! あ、アシュリオもついてきてくれてもいいけど! じゃ、行きましょうガナッツさん」
 戸惑うガナッツの腕を強引に引っ張って、ティエルはすたすたと行ってしまう。
「ちょ、ちょっと! 君が雇ってるのはガナッツ先輩じゃなくて俺なんだからね! 忘れないでほしいもんだよね!」
 アシュリオは慌ててそれを追いかける。
 ついでに、ぽよんぽよん弾むお代も忘れないでほしいものだ!


 ……しかし、ティエルが張り切るまでもなく、ゼノの居場所は驚くほど簡単に分かったのだった。
 何しろ、人間が空を飛んでいるのだ。軍服がテカテカと昼下がりの太陽の光を照り返して、目立って仕方がなかった。村人に聞けばみな口を揃えてこう言った、「マントをつけた派手な軍人なら、山の方へ向かって飛んで行った」と。
 巡回中にゼノを目撃したサイザと再び出会った。
「その空飛ぶ男が僕に向かって言ったのです。『畑荒らしの犯人がこちらへ逃げた』と。――またタンポポ畑が荒らされていたのです。あの男が先輩方に捕まっている間に」
「何だって!? それじゃあ、村人を襲ったのもゼノじゃなくてそいつなのか!?」
「急いで後を追いましょう!」
 ガナッツとサイザが走り出した。アシュリオも一緒に走る――が、
「ちょっと待ってよー!」
 男の足に追いつけずにわめくティエルを省みている間に、山道を入った二人の姿はもう見えなくなっていた。
「君を待ってる暇なんかないんだよ。犯人を追っかけてるんだからさ」
「冗談じゃないわ! 私はクレシア島自治領主の娘なのよ! 島の秩序を乱す真似は許せないわ!」
 ティエルお嬢様の正義感は一人前だ。それならもっと走りやすい靴を履いてきてほしかった、と思いつつ、アシュリオは足跡を頼りに、二人が入った山林へ分け入った。
「はあはあ、うう、道が悪くて歩きにくい……」
「はいはい、転ばないようにね。まったく……」
 いちいちよろめくティエルの手を引きながら、石の飛び出した坂をようやく上りきると、少し地面が平らになっている場所があった。
そこに、ゼノが仁王立ちで立っていた。呆れるほど堂々とした立ちっぷりだ。
「……何やってるんだ、お前」
「お前たちも来たのか」
「来たのか、じゃないだろ、お前だって仮にも畑荒らしなんだから、もっと神妙にしろよな」
「畑を荒らし、しかも村人まで襲った悪い奴はこの上にいるぞ」
「そいつを捕まえに来たんだ」
 ゼノを無視して先へ進もうとすると、その背中にゼノが声をかけた。
「行かないほうがいい。お前は帰ったほうがいい」
「じゃあ、お前を犯人としてウェストン卿のところに連れて行くけどいいのか?」
 ゼノは沈黙した。アシュリオはティエルと一緒に先を急ぐ。岩の多い道無き道だった。上方の視界を遮る岩をよけて這い上がったとき、ガナッツとサイザに囲まれて、万事休した犯人の姿が見えた。
「ねぇ、ちょっと、アシュリオ、手貸してよぉ」
 ティエルの声も耳に入らないほど、アシュリオは愕然としていた。
「だから、帰ったほうがいいと言ったのだ」
 いつの間にか隣にいたゼノがつぶやいた。
「――アシュリオ」
 ガナッツが振り向いた。彼もひどく困惑した表情を浮かべていた。
 どうして。
「どうしてお前なんだ、ベリンゼ」
今の自分の立場を忘れて、思わず、そんな言葉がアシュリオの口をついて出た。
 大きな肩を震わせて、アシュリオの前に跪く髭面の男。
 ヤクソウタンポポ畑荒らし、そして村人を襲った犯人の名前はジェレク・ベリンゼという。
 彼は4年前、家族を捨ててまでアシュリオに付いて来た、忠義心厚い騎士だったのだ。

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2010'11'02(Tue)00:26 [ 創作日記 ] . . TOP ▲
    


     


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