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ヴェトラフ・ウント・クラフ1「マイ・ドリーム」
えへへ。
勢いでこっちものっけてみます。

先ほど読み直してみたところ、このイントロ部分はさほど書き直さなくてもいいかなぁと思ったので、以前サイトに載っていたものとそんなに変わっていません。
……他の部分はだいぶ手直しが必要そうですが。。。


 ルールを守る気がないやつなんか、みんな死んでもいいと思っている。


という最初の一行からして暗いです。じめじめしてます。(笑)
でも地味だけど、いちばん書きたいと思って始めたんですよね。
私の書くものって、気がつけば「悪」というものがあまり存在しなかった。
悪役とか敵役とされるキャラクターにも、情状酌量の余地(?)があったり、自分なりの考えがあったり、または主人公と対立しているだけだったり。
だから本当に「悪い」ということはどういうことなのか、と考えた結果生まれたものでもあります。
興味がおありでしたら、続きからどうぞ。





Vetrav und Krav ヴェトラフ・ウント・クラフ

1 マイ・ドリーム




 ルールを守る気がないやつなんか、みんな死んでもいいと思っている。
 他の人を困らせても自分がよければそれでいい、なんていうやつは、社会のガンだ。
 ただしこれはあくまでも、極端な話。
 たとえばもしも二人乗りしただけで死刑になったら、人間は絶滅してしまいそうだ。それにちょっとした出来心で、ってこともあるだろうし、何でもかんでも死ねばいいんだとはさすがに言わない。
 でも、極端でも何でもない話をすれば、人を殺したやつは、殺されても仕方ないと思っている。
 取り返しのつかない罪を犯したのだから、取り返しのつかない罰を受けないと許されないと考えるからだ。


 僕のお父さんは、5年前にヴェトラフに殺された。
 お父さんは刑事で、ヴェトラフというのは国内一凶悪な殺人犯だった。
 いつだって優しくて頼りになる、正義の味方だったお父さん。
 僕はお父さんを心の底から尊敬していた。
 お父さんは、死刑になる前日に逃げ出した死刑囚のヴェトラフを捕まえようとして、ヴェトラフに殺された。もう動かなくなったお父さんの首筋に、死装束からはみ出した長くて深い切り傷があったのを、僕はきっと永遠に忘れられないだろう。


 僕は今、従弟のラドニスの家で暮らしている。
 お母さんは、お父さんが死んでから間もなく、僕を置いて他の男とどこかに逃げてしまった。
 叔父さんも叔母さんもラドニスも、みんなとてもいい人で、僕はとても大事にしてもらっている。だから、お父さんのことでいつまでもくよくよしてはいなかったし、とくにお母さんを恋しいとは思わなかった。


 僕の将来の夢は、警察官になって、ヴェトラフを捕まえることだ。
 ヴェトラフはどういうわけか、何度逮捕しても、いつも死刑の前日に脱走してしまうんだと、ニュースで言っていた。
 国内で一番厳重な刑務所に入れてもだめだった。警備員を何人増やしてもだめだった。
 でも僕は絶対にヴェトラフを捕まえてやるんだ。そうして、死刑台に――地獄に連れて行く。
 それが僕の夢だ。

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2010'07'03(Sat)00:12 [ 普通の記事 ] . . TOP ▲