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Tw300字ss 第二十一回お題「子」
「子どもには見せられない」

 江戸時代が続いた後、明治時代になった。大正を経て昭和、平成、そして――。
 僕はため息をついた。ほとんど書けることがない。
 表現規制法の修正案が国会で可決されてから、僕がこの仕事をやるのは初めてだ。
 残酷描写はとっくの昔から禁止だが、昨年ついに「死」を連想させるあらゆる描写が禁止対象になった。漫画アニメ映画テレビ、あらゆる媒体から死は徹底的に追放された。
 それが教育上有意義だというなら、僕は別にかまわない。
 でも、日本史の教科書だけは例外にしてくれよ!
 戦争もだめ。災害もだめ。テロも事件も全部だめ。明るい話題しか書けないなら、昭和はいきなり東京オリンピックか?
 こんな教科書、到底子どもには見せられないよ。


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下記お題配布元ツイートの引用です。




続きにこの話ができたきっかけにちょっと関係ある、映画の感想が書いてあります。
(ちょっと残酷な話も出てくるので、ものすごく苦手な方は気を付けてください)










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私事ですが、昨年12月から気になった映画はなるべく全部劇場で観るぞ、と決め、
最近は洋画邦画合わせてだいたい1か月に15本かそこら観ています。

先日、「アイヒマン・ショー」という映画を観ました。
ホロコースト推進の責任者、アドルフ・アイヒマンの軍事裁判を
テレビ放映したスタッフたちの物語です。

映画の中にその番組の実際の映像も使われているのですが、
ユダヤ人虐殺の映像をアイヒマンに見せるというシーンがあって、
本物の映像だから、すごく悲惨なシーンも結構出てくるんですよね。
おびただしい数の死体を穴の中に投げ込んでるところとか、死者の顔とか、
飢えて文字通り骨と皮だけの人たちとか、そういうシーンが。

虐殺の責任者たるアイヒマンがそれをどんな顔をして観たかは映画を観ていただくとして、
わたしはうわあ……と思いながらも、けっこう大丈夫でした。
元々そういうのに強いのかもしれないんですけど、その大きな理由として、
映像が不鮮明なモノクロだったから、というのがあります。
さいわい、と言ったら完全に語弊しかありませんが、
あの頃いまみたいなハイビジョン撮影はなかったんですね。
カラー撮影の技術はあったと思いますが、まだ主流はモノクロで、
まして映画を撮ってるわけじゃないから、画質もいいものではなかったんだろうと思います。
だから、ものすごく悲惨だけど、はっきりとは見えてないような感じ。

もしホロコーストのようなことが現代または未来に起こったら、
ものすごいクリアな画質で撮影されるはずです。
死者の表情とか肌の色、血の色とか、全部くっきり映ります。
でも、そうなったら、もうわたしたちのような一般人には直視に耐えられないだろうし、
そもそも公開すら許されないかもしれません。
昔20世紀を記録映像で振り返る「映像の世紀」というNHKの番組がありましたが、
21世紀はもっと映像の世紀だし、22世紀はもっともっと映像の世紀かも。
この先たとえ何が起こっても、一般人がああいう記録映像が公共の場で観られることは、
もう二度とないのだろう、と、そんなことを思いました。
だからなんだ、って言われると、なんだろうねえ、という感じですけども。



アイヒマン・ショー、いい映画だったので、ご興味のある方はどうぞチェックしてみてください。

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2016'05'07(Sat)21:00 [ Tw300字ss ] . . TOP ▲