Our York Bar

Tw300字ss 第二十六回お題「月」

「ディエはディルとドの間」

 竪琴は、三日月の形をしていた。
 大将軍との結婚祝いに贈られたものだ。竪琴を抱えた姫の姿は、さながら絵画から抜け出した音楽の女神のようだった。でも、その手つきはいささかたどたどしかった。
 十三の弦を一つずつ爪弾き、旋律を探り出す。どことなく物悲しい曲だった。私にとっては異国の響きだが、恐らく姫にとっては懐かしい曲なのだろう。姫の祖国はわが国との戦に敗れ、いまは地図上から消え去っている。
「ねえレナン、ディエの音はどう弾けばいいの? ディルと」
 真ん中の弦を弾く。
「ドの音、の間」
 さっきより、少し高い音。
「……わが国の音階には、ございません」
「そう」
 姫が竪琴を触ったのは、それが最初で最後だったと記憶している。

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300字(wordで計算)
下記お題配布元ツイートの引用です。







ずっと書いてなくて昔からお付き合いのある方しかご存知ないのですが、「ムーンライト・ミンストレル」のシトリューカの話です。
大将軍=シャルルですね。
いい加減ちゃんと書きたいです。
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創作復活ちう。

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