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【読了報告】永坂暖日『サボテンの子どもたち』
永坂暖日さん『サボテンの子どもたち』を読みました。
テキレボ6の戦利品です。
寺島家の三きょうだいを中心に展開する4編からなる連作短編集となっています。
こちらが永坂さんの 2017/11/23文学フリマ東京のカタログ です。
(しつこいようですが私も委託させていただいてます……)

感想文の前に、ひとによってインプット・アウトプットのしかたが違う、という話を。
(腕の組み方と手の組み方でどっちの手が上になるかで分かるとか、なんかそんなやつです←アバウト)
私は右脳で感覚的(なんとなく無根拠に)にインプット、左脳で論理的(理屈っぽく)にアウトプットする派らしいです。
そういうタイプの私が感想を書きます。前置き以上です。

ブラームスのワルツが聴きたくなった。
それが、『サボテンの子どもたち』読了後の感想です。
私が聴きたくなった曲はこちらです。全音さんの動画なので著作権も大丈夫なはず。

最近ではアフラックのCMにも使われていましたね。
短く素朴で、けれどもぬくもりに満ちた美しい曲で、私の大好きな曲のひとつです。
以上が右脳人間アワの感想でした。

ここから理屈っぽい阿波に補足説明させますね。(続きからです)





たぶんここを読みに来られる方は、ある作品について作者の名前を用いて「光の〇〇」「闇の〇〇」「白〇〇」「黒〇〇」と形容されているのを、一度は目にされたことがあるんじゃなかろうかと思います。
たとえば「白乙一」「黒乙一」みたいな。
作品ごとの雰囲気に明暗(陰陽?)や濃淡、硬軟があり、根底には共通するものがありながらも多彩な表現をされる作家さんに使われる言葉かとおもいます。
(私の場合は「まじめ」と「ふざけ」が近いかと思いますが、そこまで振れ幅が広くないのであります)

永坂さんはとても幅広い作品を書かれていて、まさにこういう形容が似合う作家さんだと思うのですが、『サボテンの子どもたち』を読んで、私はさらにその印象を深めました。
実は私がこれまで読んだことのある永坂作品は短編ばかりなのですが、「竜の舞い降りる村」のような優しいファンタジー、 胸がきゅっと締め付けられるせつないSF「歌唱人形はかく語りき」 、「ウウッ永坂さんドイヒー……( ;∀;)」とうめきたくなるような(笑)現代物「虜囚」( ※短編集『においのゆくえ』収録)など、読後感もジャンルも実に多彩です。
いま挙げた3編は、いずれも短いながらもドラマチックで、わかりやすいオチがあるお話です。
それらに比べると、『サボテンの子どもたち』で描かれる人々の出会いと別れの悲喜交々は、身近でささやかな、いってみればありふれたお話かもしれません。
(「銀杏夜話」は不思議なことが起こるお話ですが)
けれども主人公ひとりひとりがそれぞれの人生の主役で、ほかのだれとも違う日常を生きているのです。
有香も大輔も静香も、たぶん読者のわたしたちも、みんな。
人と人との小さな出会いや別れが少しずつ連なっていまがあり、未来へと繋がっていくことがそれとなく示されています。
だからこの本を読み終えたときに覚えた感興は、これまで読んだどの作品にも負けず広く奥深く、滋味深いものになりました。
地味でとげとげしていて、けれどもどこかかわいらしいサボテンは、見事にこの物語を象徴しています。

さて、このお話を「〇〇の永坂さん」と一言で表すなら、何がよいでしょうか。
『サボテンの子どもたち』は、「闇」では全然ないけれど、「光」というほど大仰ではない……「木漏れ日」のような作品集だと感じました。
木漏れ日の永坂さん。……なんか語呂がイマイチなんですが、そんなところでご容赦ください。
ドイヒーも好きだけど、木漏れ日もイケる永坂さん、いったいどれだけ引き出しがあるんだ!? と感嘆するばかりです。
すでに永坂さんの作品がお好きな方にはもちろん、初めての方にもぜひお手に取っていただきたい作品集です。
できればほかのご本と一緒に、その作風の多彩さを堪能してみてください!

最後に知能指数低めな感想なのですが、大輔くんが超いい子でほんと息子にしたいです……
バラ送ったのかな……。野暮天にサボテンはだめだよね……笑
あのお菓子が食べたくなりました(テキレボで配っていらっしゃいましたね!)
そして表紙と文字組がめっちゃきれいでためつすがめつうっとりしました。

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2017'11'03(Fri)00:07 [ 同人誌の感想 ] . . TOP ▲