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【読了報告】ミド『七月は皇帝の月 -Die Nordlandreise-』
ミドさんの『七月は皇帝(カイザー)の月 -Die Nordlandreise-』を読みました。
第25回文学フリマ東京での戦利品です。
20世紀初頭、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世のノルウェー旅行、そしてノルウェー国王ホーコン7世との交流を描いた作品です。
(相変わらずの世界史オンチが書いている感想なのでその辺ご了承ください)

未曽有の大戦を前にふと浮かび上がった二人の王さまの交流を丁寧な筆致ですくい取った、味わい深い作品でした。
年齢を調べてみますと、ヴィルヘルム2世のほうが13歳も年上なのですね。それを差し引いても、ホーコン7世と比べてヴィルヘルム2世はかなり尊大な人物として描かれています。生まれながらにして皇帝であるヴィルヘルム2世と、ノルウェー国民の投票によって迎えられたホーコン7世の違いがよく表れています。
とはいえヴィルヘルム2世も単なるえばりんぼ(?)というわけではなく、皇帝として国民を導く使命を自認しているからこその尊大さ、無邪気な傲慢さなのですね。また好意を持っている相手には非常に素直でもあります。ヴィルヘルム2世は第一次世界大戦を招いた暗君扱いされることが多いらしいのですが、ミドさんの繊細な力加減でなかなか憎めない人物になっていました。それゆえに、彼がこの後辿る運命を思うと切なくもあります。

対するホーコン7世は温厚で、一介の庶民にも礼儀正しい王さまで当然のように好きになっちゃう(笑)
議会との対立や王としての存在意義に悩む姿も描かれていますが、彼の運命に大きな波が襲うのは第二次世界大戦のほうでしょうか。先日拝読したまるた曜子さんの『野をゆくは魔女と景狼』にも少しだけ登場していました。

この二人には、友人と同性愛関係にあった(ホーコン7世は真偽不明とのことですが)という共通点があります。
当時は同性愛が反社会的行為とされていてドイツでは犯罪でもあったそうで、ヴィルヘルム2世の相手とされるオイレンブルク伯爵も同性愛者であることが原因で失脚しています。
オイレンブルクの面影を求めるようにノルウェーを訪れるヴィルヘルム2世は、もしかしたらホーコン7世と深く共感し合えたかもしれませんが……1914年のノルウェー旅行後に第一次世界大戦が勃発、1918年11月革命によってヴィルヘルム2世は退位しオランダに亡命、二度とノルウェーに旅することはありませんでした。

(読了後、ヴィルヘルム2世をちょっとWikipediaでどんな人なのかな~と見てみたんですが、もう……なんていうかお腹いっぱい……)
(この人、いったい誰にこんなに性癖を盛られたんだろう……神様かな……?)
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2018'02'01(Thu)12:43 [ 普通の記事 ] . . TOP ▲