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とりあえず!
ヘヴンズ・セヴン第1章「傭兵の仕事」3を続きに放り込んでます。
ちょっと長い、です。
分量というものが調節できない私。
ようやくゼノがちょっとだけ出てきたよ! わー!
※「傭兵の仕事」2はブログに載ってないのでヘヴンズ・セヴンのページで見てね。

後で気になるところが出てこなかったら、これもそのうちサイトに格納します。

そして拍手お返事!
今回続きが埋まっちゃっているので、こちらでお返事させていただきます~。

アキトさん>
わー! ありがとうございます!
勝手にお借りしてすみませんでした!(反省はしてない)
とっても楽しく作らせていただきました!
確かに皆さんにグッズ化されるキャラなんてほかに類を見ませんもんね!
そんなテトラを生み出したアキトさんはとても偉大だと思います(笑)
でも本当に近くで見るとボッコボコして汚いので覚悟してくださいね……!
アキトさんまでテトラになっちゃったら大変だ……!



ではでは続きが小説です。
ものすごく大幅に書き直しました。後半は結構いいシーンになったと思う。
でももっと表現力がほしいよね!orz


 ティエルはまず、ヤクソウタンポポの花畑を散歩したいと言った。
 ウェストン邸の裏門の外から山の麓まで、ヤクソウタンポポの花畑が満開の季節を迎えていた。鮮やかな黄色が、空の青とコントラストをなしてとても美しい。
 これが種になる前に収穫をして、乾燥させて細かく砕けば、クレシア薬草の出来上がりだ。簡単な傷ならたちどころに直してしまう万能薬で、一般家庭から軍隊まで、世界中で幅広く利用されている。
 だが、昼前だというのに、農作業をしている者は誰も居ない。
「ヤクソウタンポポは、それ自身生命力の強い草花なの。虫がついてもダメにならないし、人間に踏んづけられたぐらいでは平気なんだって。だからあまり手入れが必要ないのよ。人件費がかからないから、わがウェストン商会の利益も大きい、ってわけ」
 ティエルがアシュリオにそう教えてくれた。アシュリオは興味深げに聞いている。ティエルのほうが依頼主なのに、まるでアシュリオの案内人を務めているかのようだ。
 山手に向かう道すがら、傭兵のサイザに会った。
「お疲れ様です、アシュリオ先輩」
 サイザは中流貴族の出身の元騎士団員で、礼儀正しい青年だ。年齢は10歳近くサイザの方が上だが、アレスティア王立大学の在学当時は後輩だったので、アシュリオを先輩と呼んでいる。それが、大学の伝統的なしきたりだった。アシュリオがガナッツのことを「ガナッツ先輩」と呼ぶのも同じ理由だ。傭兵たちがうっかりアシュリオのことを王子と呼んでしまうことがないので、今はなかなか役に立っている。
「お疲れ。サイザも仕事中?」
「はい。私は、本日ヤクソウタンポポの警備当番で。アシュリオ先輩も仕事ですか?」
「ちょっとね」
 お嬢様のお守りが仕事とは言いにくかった。
「もしここより山手に行かれるなら、十分注意してくださいね。最近、畑荒らしが出没しているのです。山の中で、村人が怪しい男を目撃したそうなので、いまガナッツ先輩とロニーが捜索に当たっています」
 なるほど、ガナッツが言っていた「他の依頼」とは、畑荒らしと思しき怪しい男を捕まえることだったようだ。ガナッツなら安心して任せられる。
「ええっ、ガナッツさんがいるの!? 会いたーい!! 行きましょうよ、アシュリオ!」
 ティエルが目の色を変えた。
「何言ってるんだよ、聞いてなかったのか? 畑荒らしに襲われたらどうするのさ」
「だって、ガナッツさんってかっこいいんだもん!」
「はいはい、わかったわかった。先輩には後で会わせてあげるから、とりあえず別のところに行きましょうね」
 ティエルの手を強引に引っ張って、アシュリオは山の方には行かず右へ曲がることにした。方角で言うと西側だ。なぜそちらを選んだかというと、アシュリオのお気に入りの場所があったからだった。
「こっち側に行っても、何にもないと思うけど……?」
 ティエルは首をかしげる。確かに、興味のない人にとっては、それは「何もない」場所かもしれない。花畑の畦道を抜けるとまばらな林がある。小川が流れていて、古い石橋が架かっている。その向こうは深い森だ。そして、誰も住む者のいない森の中に、細い道が続いていた。
「おいで。この奥に、すごいものがあるんだよ」
 ティエルは不安げだったが、アシュリオに連れられて森の中へ入る。
 古い石造りの、苔むした建築物が現れた。小屋くらいの大きさだが、よく見ると石の壁面には精緻な彫刻が施された跡があった。それも今はほとんど苔で埋まってしまっているが、さしずめ遺跡といった趣だ。
「これ? ……これが、どうかしたの?」
 ティエルはこの場所を単なる廃墟としか思っていなかったようだ。
 入口に立った二つの円柱の間には、厳重に封魔の鎖が巻かれて、入れないようになっている。「許可無く立ち入ってはいけません クレシア自治領主」という木製の看板は古ぼけて字がかすれているが、この鎖だけはそれほど古くはなかった。
「これはね、はるか昔、伝説の英雄『ヘヴンズ・セヴン』が作ったとされている『旅天使の神殿』だよ。――今では『旅天使の遺跡』と呼ばれているけどね。その柱に刻まれている文字を見てごらん」
 言われてティエルは柱をなでた。何か記号のようなものが刻み付けられている。現代のアレスティア文字に似ているが、少し違う形をしていてティエルには読めない。
「『汝、旅立たんと願わば、心に行き先を強く念じよ。さすれば道は開かれん。レイ=オーリーン=ジュリカ・アレスティア』と書いてあるんだ」
 アシュリオはそれをすらすらと読み上げた。実が、神童と呼ばれた天才少年アシュリオが大学で研究していたのは、兵学でも魔法学でもなく、アレスティア古代史だったのだ。だから彼にはアレスティアの古代文字も読める。
「旅人はこの神殿の中で祈るだけで、どこへでも好きな場所へ行けたんだそうだよ。――レイ=オーリーン=ジュリカ・アレスティアは、知ってるだろ?」
「うん。アレスティアの初代の王様で、『ヘヴンズ・セヴン』の一人でしょ。子供のころ家庭教師に習ったわ」
 だがアシュリオがその英雄の子孫だとは、ティエルには知る由もない。
「『ヘヴンズ・セヴン』は、全員フルネームで暗記させられたわ。アシュリオも昔習わなかった? 『神が創ったイア・ゴルマ、悪魔が創ったイア・デリンズ。二つの世界は一つになった。けんかをしたら呼んでごらん、ヘヴンズ・セヴンを呼んでごらん。あっという間に仲直り』」
 ティエルはその7人の名前が出てくる童歌を歌ってみせた。
「懐かしいね、それ! 『メロシェラ・フューンは怒りんぼ、リヒャルト・イェーガーどこ行った』っていうやつでしょ?」
「えー? ちょっと違うかも。『メロシェラ・フューンはさびしんぼ、リヒャルト・イェーガーもういない』じゃない?」
「オーリーンとクレシアじゃ違うのかな?」
 二人は一緒に歌って笑った。お互いが雇い主と、雇われの傭兵見習いだなんてことは、すっかり頭の中から消えていた。
「こんなに笑ったの久しぶりかも!」
 ティエルは目の端に涙をためている。それはアシュリオも同じ気分だった。
 それから、アシュリオは平たい岩の上に仰向けに寝そべった。ほどよく冷えていて気持ちいい。
「夏の暑い日でも涼しいから、ここで昼寝をするのが好きなんだ」
「じゃあ、私も」
 ティエルもアシュリオの隣に寝そべった。彼女もここをなかなか気に入ってくれたようだ。
「私ね、ずーっと退屈だったの」
 独り言を言うように、ティエルは話し始めた。
「同年代の友達なんていないし、客なんて、私に求婚しにきた変な成金ばっかりなんだもの! こないだなんて、全身スパンコールでギラギラした服着た気持ち悪い垂れ目の男が来たのよ。それもバラをくわえて。『ああ、お嬢さん、僕の心はすっかり君のトリコだ』ですって。バッカじゃないの! 私じゃなくて、私が受け継ぐ財産のトリコのくせにさ」
 ティエルは目じりを引っ張って垂れ目を作って、言葉に大げさに抑揚をつけながらその男の物真似をした。アシュリオは思わず吹き出した。けれど、アシュリオにも少しティエルの気持ちが分かる気がした。いつも周りにいるのは年上の人ばかりだったし、配下はいても、純粋に友達と呼べる者はいなかったのだ。
「……この中で祈るだけで、どこでも遠くへ行けるの?」
 ふとティエルが言った。その声は、どこか真剣な色を帯びているように聞こえた。
「まさか。さすがに効力は切れてるよ。何せ1500年も前の話だし。ヘヴンズ・セヴンが今でも生きてるのなら別だけどね」
「なぁんだ。つまんないの」
「ティエルにはどこか、旅行したい国でもあるの?」
「うーん、そうね。できるだけいろんなところに行ってみたいわ」
「いいなぁ、ティエルは」
「アシュリオも、たまには旅行すればいいじゃない」
「俺は無理だよ」
「どうして?」
「だって、俺は――」
 流刑になった者が島を出ることは、それだけで反逆と見なされる。アシュリオはこの先の長い人生を、小さなクレシア島の中だけで過ごすしかないのだ。どうしようもない寂しさがこみ上げてくる。
「貧乏だからさ」
 それを呑み込んで、アシュリオは笑顔を作ってみせた。
「じゃあ、私が連れて行ってあげよっか」
「え?」
 アシュリオは思わずティエルのほうを見た。思ったよりも近くに、彼女の美しい顔がある。
「もし私が旅行するときは、あなたを傭兵として雇ってあげる。そうしたら、あなたも一緒に旅行できるでしょ?」
 無邪気に笑う少女の言葉に、少年の胸が高鳴った。そしてそこから首を伝って、自分の頬と耳を通り、急に熱が上ってくるのをはっきりと感じた。たとえ傭兵の仕事でも、実際に島を出るなんていうことが、できるはずがない。それでも、うれしいような、恥ずかしいような、不思議な感情が彼の頭の回転を鈍らせた。なぜだろうか、急にうまく言葉が出てこなくなってしまう。
「で、でも俺、まだ見習いだし」
 ようやくそう口に出した。口に出してすぐに、われながら呆れるようなつまらない言葉だ。
「じゃあ、早く一人前になってよ。それまで待っててあげるから」
「ティエル……」
 目が合った。
 この少女は、なんと美しいのだろう。
 アシュリオは自分でも知らないうちに、手を伸ばしそうになる。
 その時だった。
 突然、大きな獣のような影が、猛烈な速さで目の前を横切っていった。
「きゃあ!」
 ティエルが驚いて悲鳴を上げた。アシュリオは慌てて跳ね起きた。
「待て!」
 そして、影を追う男が現れた。ガナッツだ。彼は剣を抜いている。
「先輩!」
「アシュリオか! この男は危険だ! 下がっていろ!」
 アシュリオは行き過ぎた影のほうを振り返った。「男」と呼ばれた影は立ち止まって正体を明らかにしていた。
 確かに、それは人間の男だった。目が痛くなるほど鮮やかな水色の軍服を身にまとった、美しい男だった。

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2010'07'21(Wed)23:22 [ 普通の記事 ] . . TOP ▲
    


     


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