Our York Bar  
05≪ 2017| 12345678910111213141516171819202122232425262728293006/ ≫07
ちょっとだけ書けた
取り急ぎブログに載せちゃう。
これだけ書くのに1時間ぐらいかかっちゃった。。。

本文は続きからどうぞ。

※あまりにもアレだったので少し書き直しました



Heaven’s Seven

ヘヴンズ・セヴン


序章
「栄光なき凱旋」



――グランシア暦1496年8月20日


 アレスティア王都の乾いた石畳に、赤茶けた土煙が巻き上がった。
 遠征軍の帰還である。
 彼らの勝報は、ここ、オーリーンの市民たちの耳にも届いていた。
 もっとも、出征した将兵を家族に持つ者は別としても、ほとんどの民たちにとって、それはさして興味のない報せではあった。戦の為に課された臨時徴税に大迷惑を被ったので、負けられては困ると思いはしても、どこにあるのかもわからないような南方の小国を滅ぼし、その領土を手に入れたとて、それが直接市民の利益になるはずもなかったのである。
 それでも、市内を南北に貫く大通りに、大勢の観衆が押し寄せたのは、この軍の若き指揮官の姿を一目見てみたかったからであった。
(「王子様だった人」が来るぞ!)
 砂塵の向こうに、片翼の紋章旗がうっすらと見えた。
 地面に無数の針を絶えず打ち込むような、規則正しい軍靴の足音が聞こえてくる。
 その音は徐々に大きくなっていき、沿道に群がる野次馬たちはひそひそと噂話をし合いながら、その姿が見えるのを待つ。
(「王子様だった人」が来るぞ!)
 しかし、凱旋する軍列の姿が明らかになるにつれ、その囁きはどよめきに変わっていった。

 ラッパ一つ、鳴らない。

 先頭の旗手が通り過ぎていく。だが本来誇らしく胸を張っているはずの彼にも、疲れの色がありありと見える。紋章旗はひどく泥にまみれ、受けるべき風もないまま、ただ力なく垂れ下がっているだけだ。
 旗手の次に現れたのは、戦中指揮官を補佐していた、騎士団長と副団長である。彼らは立派な馬に騎乗していて、さすがに背筋を伸ばして堂々としているが、その表情は二人揃ってかなり険しい。
 そして、衆目を最も引いたのが、若き指揮官の姿であった。
 薄汚れた駄馬の首に突っ伏し、手綱を握るのさえやっとといった状態で震えている少年。
 野次馬たちはその顔を覗き込もうとしたが、茶色のフードの下から、赤い前髪がわずかに見えたに過ぎなかった。
 見るからに異様な凱旋――それは凱旋というよりも、むしろ壊走する敗軍のようだ。
 もはや誰も何も言えず、行進の音だけが重々しく鳴り響く。
 軍列は、大通りを抜けて、女王の待つオーリーン城へと向かう。

スポンサーサイト

2010'06'21(Mon)22:18 [ 普通の記事 ] . . TOP ▲