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【読了報告】宮田秩早『騎士の剣』
※Twitter投稿分に加筆修正を加えたものです。

宮田秩早さん『騎士の剣』 を読みました。
昨年11/23の文フリ東京では完売していて入手できなかったので、1/21の文フリ京都で私の『暁天の双星』を個人委託させていただく際に必要書類に同封して送っていただきました。
(こんなにお世話になりすぎてていいのでしょうか……)

16世紀ドイツを舞台にした濃密なファンタジー。
人ならざる者になり、永い命を得てなお騎士であり続けるハインツ。その昔語りを聞く医師パラケルススにも、どうやら秘密があるようで……。


感想は続きからです。


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2018'01'23(Tue)00:11 [ 同人誌の感想 ] . . TOP ▲
【読了報告】まるた曜子『野をゆくは魔女と景狼』
まるた曜子さん『野をゆくは魔女と景狼』を読みました。
テキレボ5での戦利品です。
昨年末から読み始めたのですがなかなか読書の時間が取れず、そのまま年を越してしまいました。
でも、今年は戌年だからちょうど良かったのかもしれません。オオカミはイヌ科だし!
(あっ、あけましておめでとうございます。)

さて「野ゆき」の舞台は第一次世界大戦後から第二次世界大戦後にかけての非交戦国スヴェーリエ(スウェーデン)。《魔女》のリネーアと、その《僕》である狼オメガの物語です。
素人目から見た感想ですが、20世紀初頭の北欧情勢、スカンディナヴィアの自然や文化風俗にまで行き届いた描写がとても魅力的です。

「魔女」シリーズを読むのは『僕の真摯な魔女』に次いで2冊目です。
《魔女》は《運命の人》と出会うと、その人と交わらねばならず、次代の《魔女》を産んで死んでいきます。
《運命の人》がたとえどんなひどい男だろうと、《魔女》にほかに大切な相手がいようとまだやりたいことがあろうと関係がありません。
運命の人との出会い――「魔女」シリーズのそれは、甘やかな響きから受ける印象とはまったく違ったものでした。

私は「僕魔女」を読んだ時、魔女のシステムとはなんと残酷だろうと思いました。けれども自らの宿命を受け入れ、その中で得られる最大の幸せを選び取ってゆく《魔女》の姿は二作を通じて凛としていて(それでいて可憐で)、胸を打たれます。

「野ゆき」では、人間のことも考えました。

みんなみんな、親しいひとに死んで欲しくなんかなかった。だけど彼らは言うのだ、『国を、愛する人を守るために戦うのだ、名誉と誇りを胸に!』そして死ぬ。(本文52ページ)

《魔女》と違って、人間には《運命の人》のような絶対的なさだめはありません。けれども人間は愛とか信条とか、または周りの雰囲気とか、さまざまなものに縛られて、時として自ら不幸になる選択をします。
絶対に逆らえない過酷な運命を背負うのと、いくつもあるはずの選択肢からわざわざ不幸なものを選んでしまうのと、本当に不幸なのはどちらだろう。《魔女》の一歩引いた視点から戦時下の人々を見つめると、そんなことを考えさせられました。
少なくとも、リネーアとオメガは不幸ではなかったでしょう。というよりも、誇り高い《魔女》とその《僕》の在り方を、われわれ人間が勝手に幸だ不幸だと評するべきではないと感じました。
私たちにできるのはただ、まだ雪の残るスカンディナヴィアの大地を駆け抜けていく二匹の狼を、敬意と一抹の哀惜をもって見送ることだけなのです。

素敵なご本なのでみなさんぜひ……と申し上げたいところですが、もう在庫がほとんどないとのことだったと思うので(2018.1.2現在)とりあえずシリーズ未読の方には『僕の真摯な魔女』をオススメしておきます。こちらも、よいですよ。


(追伸:えっちなところはくいいるようによみました)
2018'01'02(Tue)23:53 [ 普通の記事 ] . . TOP ▲
今年作った本のこと
同人誌作り始めて最初の一年が終わりますので、今年作った本の反省などをしてみようと思います。

あっ、その前に。
次のイベント参加は
・1/21文フリ京都(お-16「バイロン本社」様へ『暁天の双星』を個人委託)
・2/11コミティア123(空想工房・直参)

です。
私個人の新刊はしばらくない予定ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
では改めて、振り返り。

『時柴流星の変身』
収録作:「時柴流星の変身」「時柴兄弟の変心」
2017/4/1(テキレボ5)発行、10/28(テキレボ6)完売
確かテキレボや文フリで一般参加して、楽しそうだな~と思っていたときにseedsさんが空想工房を立ち上げてくださったのが昨年秋くらいの話だったと思います(あやふや)
せっかくイベント出るなら間に合わせでいいから本を作ろうと思いまして、2015年にseedsさん主宰の『つめこみっ!』に参加させていただいた「時柴流星の変身」に書き下ろしの「時柴兄弟の変心」を付けて作った、言ってしまえば間に合わせの本です。
この本はテキレボ5でオカワダアキナさんに「おじレビュー」をいただき、多くの方に手に取っていただけました。ありがとうございます……!

実はですね……MS明朝がPCの画面からギザギザして見づらくて、とりあえずHGナントカ明朝で書いて後でフリーフォントとか調べてみよう~と思っていたら忘れていて、そのまま本にしてしまいまして(アホ)
読めなくはないんですが、読みやすくはない本になってしまったなあと思います。
そんなこんなで再版の予定はありません。来年夏頃にでもカクヨムに転載できたらな~と思います。


『剣士と赤竜』短編「宿題」先行頒布版/「初弟子」「刺青」無料配布版
収録作:「宿題」/「初弟子」「刺青」
2017/4/1発行~頒布中

あとがきにも書いたのですが、空想工房会誌『カケラ』vol.01に寄せた「初弟子」で終わりのはずが、せっかくだから長編にしよう→会誌のテキレボ5のアンソロ「嘘」にも関連作を載せよう→あれっシノが「初弟子」に出てこないな?→出てくる本でも作ろう
などという流れで作ったのが「宿題」先行頒布版です。
しかし続編だけの本なので「カケラ」が完売したいまとなっては売りにくく、慌てて無料配布版を家のプリンタで作るはめになりました。
私の無計画性を如実に反映した作品群となっております。
まだ少し残っていますので、長編版のお試しセットとして100円で売りたいと思います。

お試しセットは2/11のコミティア123に持っていきます。
長編版は次回テキレボ7(2018/7/16)に出せるように頑張ります。
口下手な中年剣士ジェラベルド、その相棒の女剣士(貴族令嬢だけど貧乏舌)シノ、天才魔道士少年トート、頑固な金髪美少女ラウラという、おさおねショタしょう勢揃いのラノベちっくな組み合わせですが、どこか時代小説みたいな渋めのテイストで書けたらなと思います。


『暁天の双星』
2017/10/28発行・第一刷完売、増刷分頒布中
初めて作った長編小説の個人誌です。
テキレボアンソロから大きな反響をいただき、テキレボ6では足りませんでした。
とはいってもとんでもない数が出たわけではないので、こいつだけは誤解のないように頒布数を書いてしまいますね。
12/24現在の有料頒布数はテキレボ6で36部、文フリ東京6部、その他取置分3部で計45部です。
次回の頒布は1/21文フリ京都(個人委託)、2/11コミティア123(空想工房にて直参)の予定です。
増刷分も引越前だったために部数控えめだったので、テキレボ7まで足りるかなどうかな……といった感じです。
あまりにも少なければ再度少部数増刷をかけようかと思いますが、その辺は今後の反応を見てから考えようと思っています。
いちおう第一刷は完売しているので来年夏頃にはカクヨム転載も考えていますが、氷上さんの装画あってこその作品だと思いますので、できれば本の形でお手に取っていただきたいです。

いま思い返すと結構しんどかったなあと思います。
10万字以上ある小説をちゃんと完結させたことがなかったので、自分に本当に終わらせる力があるのかも不安でした。
アンソロに寄せていただいた感想から感じるご期待とは違うものを書いている自覚があって、苦しいと思うこともありました。
作者は歴史学者のターミ・ポアットという体裁をとったくせに「泡野瑤子」の作者性と衝突して上手くいかず、いくつかの場面ではターミ先生をねじ伏せて地が出てしまった部分もあります。
逆にターミ先生に譲り、私が読者なら「ここが良くなかった」と感想を書くだろうなと分かっていながら書いた部分もあります。
(シシーバの場面はだいぶ譲っています。私はバライシュ派だけど先生シシーバ派だから……笑)
ただそういうのものも含めて、本になって読み返したときに、これはこういう作品で別の姿はないんだな、と腑に落ちるところがありました。
反省点は多々ありますが、何より「作れた」というのはよかったなと思います。


『月の光はきこえなくても』
2017/10/28発行~頒布中(残部2)
テキレゴに参加したくて突貫で生やした短編です。
「映画好きなだけあって〇〇」という感想をいただけて嬉しいのに自覚が薄かったので、今度は自発的に影響を受けてやろうと思い、日本映画で目にタコができるほど量産されるタイムリープものにしてみました。
暁天の原稿を書いているときにいつもPCのそばに小さい蜘蛛がいて、かわいいなーと思ったので蜘蛛のチェルニーを登場させました。
(PCのそばにいたのはジョロウグモではなかったんですが)
温かい反応をいただき、彼か彼女かわからないあの蜘蛛ちゃんの命に大いに意味があったことを証明できたようで嬉しく思います。
残部がありませんので、次のテキレボ7までは置いておきます。
ゴブガリMAPか、現代ファンタジーMAPかに参加できればと思います。

来年にとあるアンソロにこちらの姉妹編を寄せる予定です。
バイエルがバイエルじゃない名前で出ると思います。
いつか連作短編集として一冊にまとめたいな~。



作った本については以上です。
あとここに載せていない『カケラ』vol.02の「カタリナ」や途中で挫折した300字SS・140字SS、仲間うちのアンソロ用原稿も併せて、書いた文字数は20万字前後じゃないかなーと思います。たぶん創作文芸界隈では少ないほうだと思います。
あくまで趣味のひとつですしあまり映画を犠牲にしたくないので、来年も無理のないようにやっていきたいです。
お相手してくださった皆様、ありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。

【来年の目標と予定】
・とりあえずテキレボ7で『剣士と赤竜』と、もうひとつアレを頑張って作ります。
・カケラの原稿もちゃんと書きます。
・もう1本くらい冬頃に長編を出したいです。
・BOOTH通販を始めたいです。
・もしまたあまぶんがあればサークル参加したいです。再来年でもいい……
2017'12'24(Sun)23:51 [ 創作日記 ] . . TOP ▲
【読了報告】里見透『鳴き沙のアルフェッカ』
里見透さんの『鳴き沙のアルフェッカ』を読みました。
コミティア122の戦利品です。

舞台は、イフティラームという海に面した恵み豊かな国です。
この国では毎年春雷が鳴ってから五日後に「海神祭」が行われ、その年に十五歳(成人)になる若者たちの中から試合に勝ち残った者が祭主に選ばれます。
一年前、祭主の有力候補だったのは、首長の後継者で宗主国ダフシャの王族の血を引くカラヤと、もとは異国の奴隷だったイスタバルの二人。
境遇は違えど外からやって来た二人の少年は、同じイフティラームで成長した親友同士でした。
ところが、二人が対決したとき、カラヤはイスタバルの思わぬ罠にかかり……といったお話です。
(分かる方には、すでに私が大好きそうな感じだと察しがつくかと思います……)

物語は現在と一年前を行き来する形で紡がれます。
序章に現れる十六歳になったカラヤは、苛立ちと重苦しい雰囲気を感じさせて近寄りがたそうな雰囲気。
(ここの情景描写がカラヤの心情をすごく見事に象徴していてすごいなあ、と思いました、という小並感)
しかし続く第一章、一年前の彼はとても快活な少年で、その落差に胸が痛みます。
カラヤの心には、親友イスタバルの裏切りと不可解な死が影を落としていました。

具体的な言及はしていませんが、これ以上はそこそこネタバレしていますので一応畳みます。
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2017'12'11(Mon)22:49 [ 普通の記事 ] . . TOP ▲
【読了報告】青波零也『霧世界報告』
青波零也さんの『霧世界報告』を読みました。
コミティア122の戦利品です。

空と海の区別なく、霧に包まれた世界に生きる人々を描いた掌編集です。
”The Misty Miniascape Report”という英語題の通り、霧世界は箱庭的世界といえます。
収録された全20編は、翅翼艇(エリトラ)を駆るゲイルたち霧航士(ミストノート)の物語と、幽霊船に漂着した少女コルネリアと船長の物語、どうやら私たちと同じ世界から迷い込んでしまったらしい女子高生アヤと魔法使いシロさんの物語の3つに大別されます。

私にとって、このご本の感想を書くのはとても難しいのです……
なにしろ性癖を刺されすぎました。メッタ刺しです。
死人に口なしというくらいですから、感想を書くのなんかもっと無理です。
私のしかばねの横には、血文字で「クソエモペンギン太郎」と書いてあります。
いまわの際に鼻血で書いたらしいです。
(逆説的に感想になってません?)(なってません)

ちなみに「クソエモペンギン太郎」は私が考えた言葉ではありません。
読んだ方が作中のとあるキャラクターにつけた愛称(……愛称?)のようです。
キャラクターに自然と愛称がつくほど親しまれるのってすごいなと思います。
それだけキャラクターが魅力的だということですもんね。ええ、本当に魅力的でした。
(どう頑張っても小並感しか出ない)(ただのしかばねのようだ)

もうちょっと頑張りましょうか……。
『霧世界報告』の魅力は独創的な世界観や鮮やかに描き分けられたキャラクターたち、そして、その構成だと思います。
収録作の多くは種々のアンソロジーに掲載されたものだったり、単独でコピー本として先行頒布されたものだったりするようなのですが、少しずつ物語のすがたが見えてくるように掲載順が工夫されており、読み心地はむしろ長編に近いように思います。
そしてこの構成が、「霧世界」を体現しているようにも思いました。
たとえば、青空を夢見るゲイルとオズワルドの物語は飛行機乗りのロマンと哀愁に満ちていて胸が高鳴るのですが、読み進めていくうちに彼らの間に重大な事件が起こったことが察せられます。
一体何があったのか……見えるようで、全ては見えなくて、その察させ具合(?)が絶妙で、続刊が読みたくて仕方なくなってしまいます!
真相は来年7/16のテキレボ7での新刊を待て! ということのようですが、2/11のコミティア123でも関連作がお目見えするようで、いまからとても楽しみです。

ここでは性癖のため霧航士パートに偏った感想ばかりになってしまいましたが、コルネリアと船長のお話やアヤとシロさんのお話もまた違った雰囲気で非常にイイ感じですしこの世界観そのものが性癖なので、いずれもまとまった長いお話が出たらチェックしたいです。

いつも以上に駄文で申し訳ないです。ペンギンの……せいです……(遺言)
2017'12'07(Thu)23:33 [ 同人誌の感想 ] . . TOP ▲