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【読了報告】葉原あきよ『彼女は鳥かごの中』
※Twitter投稿分に加筆したものです

葉原あきよさん『彼女は鳥かごの中』を読みました。
テキレボ6の戦利品です。
科学技術が発達し、人類が宇宙の星々で生きる未来世界において、電子機器を止めてしまう「SOF」体質を持って生まれたマリエと、彼女に恋した大富豪の御曹司ユートのラブストーリー。

ユートはマリエに対してすごく一途ですが、それゆえの独善的な面も見逃さず、二人の関係性がフェアに描かれているのがよかったです。
ユートのスパダリ力に100%依存して救われるのではなく、彼はきっかけをくれただけで、マリエたちSOFは自身の努力と才覚で社会にかかわっていけるのだと思えました。
人類が宇宙にいるような世界で電子機器が一切使えないのは不便でしょうが、「鳥かご」の中でのパンや野菜づくりはほっとする温かみがあって、この作品独特の魅力だなあと思いました。
個人的にはヨシカワの恋路を応援したいところです。
あとTwitterで書き忘れてたんですがカオリさんカッコイイ! 女性たちがみんな素敵でした。
外伝のご本もあるそうなので、次の機会にゲットしたいところです。
2018'02'19(Mon)19:45 [ 同人誌の感想 ] . . TOP ▲
【読了報告】ミド『七月は皇帝の月 -Die Nordlandreise-』
ミドさんの『七月は皇帝(カイザー)の月 -Die Nordlandreise-』を読みました。
第25回文学フリマ東京での戦利品です。
20世紀初頭、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世のノルウェー旅行、そしてノルウェー国王ホーコン7世との交流を描いた作品です。
(相変わらずの世界史オンチが書いている感想なのでその辺ご了承ください)

未曽有の大戦を前にふと浮かび上がった二人の王さまの交流を丁寧な筆致ですくい取った、味わい深い作品でした。
年齢を調べてみますと、ヴィルヘルム2世のほうが13歳も年上なのですね。それを差し引いても、ホーコン7世と比べてヴィルヘルム2世はかなり尊大な人物として描かれています。生まれながらにして皇帝であるヴィルヘルム2世と、ノルウェー国民の投票によって迎えられたホーコン7世の違いがよく表れています。
とはいえヴィルヘルム2世も単なるえばりんぼ(?)というわけではなく、皇帝として国民を導く使命を自認しているからこその尊大さ、無邪気な傲慢さなのですね。また好意を持っている相手には非常に素直でもあります。ヴィルヘルム2世は第一次世界大戦を招いた暗君扱いされることが多いらしいのですが、ミドさんの繊細な力加減でなかなか憎めない人物になっていました。それゆえに、彼がこの後辿る運命を思うと切なくもあります。

対するホーコン7世は温厚で、一介の庶民にも礼儀正しい王さまで当然のように好きになっちゃう(笑)
議会との対立や王としての存在意義に悩む姿も描かれていますが、彼の運命に大きな波が襲うのは第二次世界大戦のほうでしょうか。先日拝読したまるた曜子さんの『野をゆくは魔女と景狼』にも少しだけ登場していました。

この二人には、友人と同性愛関係にあった(ホーコン7世は真偽不明とのことですが)という共通点があります。
当時は同性愛が反社会的行為とされていてドイツでは犯罪でもあったそうで、ヴィルヘルム2世の相手とされるオイレンブルク伯爵も同性愛者であることが原因で失脚しています。
オイレンブルクの面影を求めるようにノルウェーを訪れるヴィルヘルム2世は、もしかしたらホーコン7世と深く共感し合えたかもしれませんが……1914年のノルウェー旅行後に第一次世界大戦が勃発、1918年11月革命によってヴィルヘルム2世は退位しオランダに亡命、二度とノルウェーに旅することはありませんでした。

(読了後、ヴィルヘルム2世をちょっとWikipediaでどんな人なのかな~と見てみたんですが、もう……なんていうかお腹いっぱい……)
(この人、いったい誰にこんなに性癖を盛られたんだろう……神様かな……?)
2018'02'01(Thu)12:43 [ 普通の記事 ] . . TOP ▲
【読了報告】宮田秩早『騎士の剣』
※Twitter投稿分に加筆修正を加えたものです。

宮田秩早さん『騎士の剣』 を読みました。
昨年11/23の文フリ東京では完売していて入手できなかったので、1/21の文フリ京都で私の『暁天の双星』を個人委託させていただく際に必要書類に同封して送っていただきました。
(こんなにお世話になりすぎてていいのでしょうか……)

16世紀ドイツを舞台にした濃密なファンタジー。
人ならざる者になり、永い命を得てなお騎士であり続けるハインツ。その昔語りを聞く医師パラケルススにも、どうやら秘密があるようで……。


感想は続きからです。


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2018'01'23(Tue)00:11 [ 同人誌の感想 ] . . TOP ▲
【読了報告】まるた曜子『野をゆくは魔女と景狼』
まるた曜子さん『野をゆくは魔女と景狼』を読みました。
テキレボ5での戦利品です。
昨年末から読み始めたのですがなかなか読書の時間が取れず、そのまま年を越してしまいました。
でも、今年は戌年だからちょうど良かったのかもしれません。オオカミはイヌ科だし!
(あっ、あけましておめでとうございます。)

さて「野ゆき」の舞台は第一次世界大戦後から第二次世界大戦後にかけての非交戦国スヴェーリエ(スウェーデン)。《魔女》のリネーアと、その《僕》である狼オメガの物語です。
素人目から見た感想ですが、20世紀初頭の北欧情勢、スカンディナヴィアの自然や文化風俗にまで行き届いた描写がとても魅力的です。

「魔女」シリーズを読むのは『僕の真摯な魔女』に次いで2冊目です。
《魔女》は《運命の人》と出会うと、その人と交わらねばならず、次代の《魔女》を産んで死んでいきます。
《運命の人》がたとえどんなひどい男だろうと、《魔女》にほかに大切な相手がいようとまだやりたいことがあろうと関係がありません。
運命の人との出会い――「魔女」シリーズのそれは、甘やかな響きから受ける印象とはまったく違ったものでした。

私は「僕魔女」を読んだ時、魔女のシステムとはなんと残酷だろうと思いました。けれども自らの宿命を受け入れ、その中で得られる最大の幸せを選び取ってゆく《魔女》の姿は二作を通じて凛としていて(それでいて可憐で)、胸を打たれます。

「野ゆき」では、人間のことも考えました。

みんなみんな、親しいひとに死んで欲しくなんかなかった。だけど彼らは言うのだ、『国を、愛する人を守るために戦うのだ、名誉と誇りを胸に!』そして死ぬ。(本文52ページ)

《魔女》と違って、人間には《運命の人》のような絶対的なさだめはありません。けれども人間は愛とか信条とか、または周りの雰囲気とか、さまざまなものに縛られて、時として自ら不幸になる選択をします。
絶対に逆らえない過酷な運命を背負うのと、いくつもあるはずの選択肢からわざわざ不幸なものを選んでしまうのと、本当に不幸なのはどちらだろう。《魔女》の一歩引いた視点から戦時下の人々を見つめると、そんなことを考えさせられました。
少なくとも、リネーアとオメガは不幸ではなかったでしょう。というよりも、誇り高い《魔女》とその《僕》の在り方を、われわれ人間が勝手に幸だ不幸だと評するべきではないと感じました。
私たちにできるのはただ、まだ雪の残るスカンディナヴィアの大地を駆け抜けていく二匹の狼を、敬意と一抹の哀惜をもって見送ることだけなのです。

素敵なご本なのでみなさんぜひ……と申し上げたいところですが、もう在庫がほとんどないとのことだったと思うので(2018.1.2現在)とりあえずシリーズ未読の方には『僕の真摯な魔女』をオススメしておきます。こちらも、よいですよ。


(追伸:えっちなところはくいいるようによみました)
2018'01'02(Tue)23:53 [ 普通の記事 ] . . TOP ▲
今年作った本のこと
同人誌作り始めて最初の一年が終わりますので、今年作った本の反省などをしてみようと思います。

あっ、その前に。
次のイベント参加は
・1/21文フリ京都(お-16「バイロン本社」様へ『暁天の双星』を個人委託)
・2/11コミティア123(空想工房・直参)

です。
私個人の新刊はしばらくない予定ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
では改めて、振り返り。

『時柴流星の変身』
収録作:「時柴流星の変身」「時柴兄弟の変心」
2017/4/1(テキレボ5)発行、10/28(テキレボ6)完売
確かテキレボや文フリで一般参加して、楽しそうだな~と思っていたときにseedsさんが空想工房を立ち上げてくださったのが昨年秋くらいの話だったと思います(あやふや)
せっかくイベント出るなら間に合わせでいいから本を作ろうと思いまして、2015年にseedsさん主宰の『つめこみっ!』に参加させていただいた「時柴流星の変身」に書き下ろしの「時柴兄弟の変心」を付けて作った、言ってしまえば間に合わせの本です。
この本はテキレボ5でオカワダアキナさんに「おじレビュー」をいただき、多くの方に手に取っていただけました。ありがとうございます……!
再版の予定はありません。来年夏頃にでもカクヨムに転載できたらな~と思います。


『剣士と赤竜』短編「宿題」先行頒布版/「初弟子」「刺青」無料配布版
収録作:「宿題」/「初弟子」「刺青」
2017/4/1発行~頒布中

あとがきにも書いたのですが、空想工房会誌『カケラ』vol.01に寄せた「初弟子」で終わりのはずが、せっかくだから長編にしよう→会誌のテキレボ5のアンソロ「嘘」にも関連作を載せよう→あれっシノが「初弟子」に出てこないな?→出てくる本でも作ろう
などという流れで作ったのが「宿題」先行頒布版です。
しかし続編だけの本なので「カケラ」が完売したいまとなっては売りにくく、慌てて無料配布版を家のプリンタで作るはめになりました。
私の無計画性を如実に反映した作品群となっております。
まだ少し残っていますので、長編版のお試しセットとして100円で売りたいと思います。

お試しセットは2/11のコミティア123に持っていきます。
長編版は次回テキレボ7(2018/7/16)に出せるように頑張ります。
口下手な中年剣士ジェラベルド、その相棒の女剣士(貴族令嬢だけど貧乏舌)シノ、天才魔道士少年トート、頑固な金髪美少女ラウラという、おさおねショタしょう勢揃いのラノベちっくな組み合わせですが、どこか時代小説みたいな渋めのテイストで書けたらなと思います。


『暁天の双星』
2017/10/28発行・第一刷完売、増刷分頒布中
初めて作った長編小説の個人誌です。
テキレボアンソロから大きな反響をいただき、テキレボ6では足りませんでした。
とはいってもとんでもない数が出たわけではないので、こいつだけは誤解のないように頒布数を書いてしまいますね。
12/24現在の有料頒布数はテキレボ6で36部、文フリ東京6部、その他取置分3部で計45部です。
次回の頒布は1/21文フリ京都(個人委託)、2/11コミティア123(空想工房にて直参)の予定です。
増刷分も引越前だったために部数控えめだったので、テキレボ7まで足りるかなどうかな……といった感じです。
あまりにも少なければ再度少部数増刷をかけようかと思いますが、その辺は今後の反応を見てから考えようと思っています。
いちおう第一刷は完売しているので来年夏頃にはカクヨム転載も考えていますが、氷上さんの装画あってこその作品だと思いますので、できれば本の形でお手に取っていただきたいです。

いま思い返すと結構しんどかったなあと思います。
10万字以上ある小説をちゃんと完結させたことがなかったので、自分に本当に終わらせる力があるのかも不安でした。
アンソロに寄せていただいた感想から感じるご期待とは違うものを書いている自覚があって、苦しいと思うこともありました。
作者は歴史学者のターミ・ポアットという体裁をとったくせに「泡野瑤子」の作者性と衝突して上手くいかず、いくつかの場面ではターミ先生をねじ伏せて地が出てしまった部分もあります。
逆にターミ先生に譲り、私が読者なら「ここが良くなかった」と感想を書くだろうなと分かっていながら書いた部分もあります。
(シシーバの場面はだいぶ譲っています。私はバライシュ派だけど先生シシーバ派だから……笑)
ただそういうのものも含めて、本になって読み返したときに、これはこういう作品で別の姿はないんだな、と腑に落ちるところがありました。
反省点は多々ありますが、何より「作れた」というのはよかったなと思います。


『月の光はきこえなくても』
2017/10/28発行~頒布中(残部2)
テキレゴに参加したくて突貫で生やした短編です。
「映画好きなだけあって〇〇」という感想をいただけて嬉しいのに自覚が薄かったので、今度は自発的に影響を受けてやろうと思い、日本映画で目にタコができるほど量産されるタイムリープものにしてみました。
暁天の原稿を書いているときにいつもPCのそばに小さい蜘蛛がいて、かわいいなーと思ったので蜘蛛のチェルニーを登場させました。
(PCのそばにいたのはジョロウグモではなかったんですが)
温かい反応をいただき、彼か彼女かわからないあの蜘蛛ちゃんの命に大いに意味があったことを証明できたようで嬉しく思います。
残部がありませんので、次のテキレボ7までは置いておきます。
ゴブガリMAPか、現代ファンタジーMAPかに参加できればと思います。

来年にとあるアンソロにこちらの姉妹編を寄せる予定です。
バイエルがバイエルじゃない名前で出ると思います。
いつか連作短編集として一冊にまとめたいな~。



作った本については以上です。
あとここに載せていない『カケラ』vol.02の「カタリナ」や途中で挫折した300字SS・140字SS、仲間うちのアンソロ用原稿も併せて、書いた文字数は20万字前後じゃないかなーと思います。たぶん創作文芸界隈では少ないほうだと思います。
あくまで趣味のひとつですしあまり映画を犠牲にしたくないので、来年も無理のないようにやっていきたいです。
お相手してくださった皆様、ありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。

【来年の目標と予定】
・とりあえずテキレボ7で『剣士と赤竜』と、もうひとつアレを頑張って作ります。
・カケラの原稿もちゃんと書きます。
・もう1本くらい冬頃に長編を出したいです。
・BOOTH通販を始めたいです。
・もしまたあまぶんがあればサークル参加したいです。再来年でもいい……
2017'12'24(Sun)23:51 [ 創作日記 ] . . TOP ▲